2009年7月1日水曜日

リハビリだより

第9回  『リハビリの意味』


今回は、「リハビリ」とはどのような意味かを紹介したいと思います。

リハビリのイメージは、マッサージのようなものでリハビリをすると気持ちよくなったり、楽になるなどをよく聞く事があります。

それは、決して間違いではないのですが一般的に使われている「リハビリ」と言うカタカナの元々の意味を紹介します。

まず、リハビリと言う言葉が使われたのは、中世ヨーロッパで戒律を犯し破門された者が、破門を解かれ名誉や地位を回復した場合に用いられていました。

 その後は無実の罪をきせられた者が、無実が明らかになり名誉を回復した場合や、20世紀になると犯罪者が更正し社会復帰した場合などに使われていた歴史があります。

医学的に使われ始めたのは、第1次世界大戦の頃の米国であり、戦傷者の方々に対する、身体・心理機能の回復や社会・職業への復帰のために、理学療法・作業療法・言語聴覚療法などが行なわれるようになりリハビリと言う言葉が使われはじめました。

リハビリはリ・ハビリテーション(Re-habilitation)を短くしたもので、「リ(Re)」とは「再び・元へ・新たに」などという意味があり、「ハビリテーション(habilitation)」の意味は大きく二つあり一つ目はラテン語の「能力」という意味の「ハビリター(habilitare)」。

もう一つは、人類の祖先である猿人と原人の中間に位置する、ホモ・ハビリス(Homo Habilis)です。

 ホモ・ハビリスは「器用なヒト」を意味し、道具を作りそれを使って生活をしていた歴史があり、ハビリスは「人間にふさわしい」と言う意味でも使われ、それは適応、有能、役立つ、生きるなどの意味を含んでいます。

つまり、リハビリとは何らかの問題のために元々持っていた能力に不具合が生じた際にその不具合を改善したり、不具合をもちながらも生活できるように「人間らしく生きる権利の回復」「自分らしく生きる」ことを目指すものであり、再び能力を回復するという意味が語源となっています。

リハビリの行い方や内容は患者様の症状などによりそれぞれ違います。

まず私達は、患者様が何を望んでいるのか、リハビリを行うことでどうなりたいのかを聞くことを大切にし、生活を送るにあたりどんな問題が生じてくるかを予測し、患者様が自分らしく生活できる手助けを行えるようなリハビリテーションを提供したいと日々思っています。



医療法人一仁会
脳神経リハビリ北大路病院
理事長 岡田 純