2014年7月16日水曜日

神経内科はどんな病気や症状の診療をしているのでしょうか?


神経内科は、脳や脊髄、末梢神経、筋肉の病気を診ています。物をつかんだり、歩いたり、話をしたりする運動や、物を触ったり、痛み・温度などの感覚、物事を覚えたり考えたりすることができなくなった、できなくなってきた病気を診る診療科です。症状としては、言葉がはっきりと話せない、食事がうまく飲み込めない、物をうまくつかめない、手足の力が思うように入らない、手足が震える、物が二重に見える、もの忘れが多くなってきた、めまいがする、頭痛など多くの症状があります。
神経内科は、このように全身の神経系を対象に診療しております。この中から、整形外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科などの診療科が得意とされる症状に対しては、それぞれの科をご紹介させていただきます。

いくつかの神経内科が対象とする病気をご紹介いたします。
認知症:アルツハイマー型認知症を代表に脳血管性認知症、レビー小体を伴う認知症、前頭側頭型認知症(以前はピック病と言われていたタイプが入ります)などの症状の進行を遅らせなければならない認知症から、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫などの治療可能な認知症まで、多くの認知症状を出現する病気があります。当院では週1日、もの忘れ外来を行っております。ご家族、ご本人に、気になる症状がありましたらお気軽に受診していただければと思います。

脳血管障害(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血):当院は回復期リハビリテーションを主な目的にしている病院で、発症当初の入院加療はしておりません。急性発症の患者さんには、市内の脳血管障害の対応ができる救急病院を受診されることをお勧めします。このような急性期ではなく、「今までに症状には出ていない脳梗塞や脳出血が起こったことがあるのだろうか」クモ膜下出血の大きな原因となる脳動脈瘤があるかどうか、将来発症するのではと不安に思っておられる方は、受診していただき、今までの様子をお聞きしたうえで脳の画像検査(MRICT)をいたします。脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血になられ、リハビリテーションを希望される患者さんは、かかりつけの先生や入院中の主治医の先生とご相談ください。

パーキンソン病:手足が震える、動作がおそい、手足の関節が固い、起立や歩行が不安定などの症状が起こります。このような症状が出現する病気の名前としては、パーキンソン病が有名ですが、現在服用されているお薬の副作用やその他の病気である可能性もあります。診察や現在服用中のお薬で診断できることが多くあります。以前は、パーキンソン病は進行性の病気でなかなか治療の効果が上がらないことがありましたが、現在は、多くの種類のパーキンソン病に対する薬があり、日常生活を維持していくことが可能となってきています。

めまいや頭痛:めまいは、朝起きた時、部屋の景色がぐるぐる回る症状や、突然歩行がふらふらするようになったなどの症状から起こります。時には、脳血管障害などの脳が原因でおこることがあります。このため、脳に病変があるかないかの診断が必要になることがあります。耳鼻咽喉科の病気、症状であることも多く、耳鼻咽喉科の先生にご紹介させていただくこともあります。頭痛は、しめつけられるような頭痛、心臓の拍動のような拍動性の頭痛、突然頭を殴られたような激しい頭痛など症状はいろいろで、出現前に目の前がちかちか光ったり、見えづらくなったりする症状や、また、吐気や嘔吐を伴ったりといろいろあります。原因としても、筋肉の緊張や片頭痛、脳血管障害などいろいろです。

睡眠障害:睡眠障害は、多くの診療科が関わっており、症状や病気もたくさんあります。この中で、当院の神経内科が主に診療している症状、病気について紹介いたします。睡眠中、夢を見ているときに、夢内容と同じように話したり、手足を動かしたりして、時には横に寝ている人を傷つけるようなことがあるレム睡眠行動異常症や、寝入りばな、脚にむずむずする感覚や虫が這うような違和感があり眠りにくくなることがあるレストレスレッグズ症候群、睡眠中いびきが大きくときどき呼吸がとまっていることがあり、日中眠気を伴う睡眠時無呼吸症候群、また、日中の突然の眠気や驚きや喜びにより脱力がおこることがあるナルコレプシーなどの症状に対して、診断治療をしております。
このような代表的な症状、病気を説明させていただきましたが、ほんの一部分です。何か気になる症状や、ご心配なことが本人のみならずご家族が気づかれましたら、神経内科の外来を受診してください。

神経内科部長  木村 格

2014年4月1日火曜日

心療内科紹介

 2013年4月より木曜日午前中の心療内科外来を担当させていただいておりましたが、このたび、2014年4月より北大路病院の心療内科を担当させていただくことになりました。開院以来、心療内科を担当し、北大路病院の発展にご尽力されました椋田稔朗先生の後任として、心療内科を引き継がせていただくことになり、身の引き締まる思いです。

 私は、関西医科大学心療内科で研修し、その後は同大学病院、ならびに、市中病院で診療に従事し、森ノ宮医療大学では心身医学の専任講師をさせていただいております。また、統合医療(西洋医学と代替療法を統合的におこなう医療)も専門としており、特にホメオパシーやフラワーエッセンスといった自然療法にも取り組んでまいりました。

 心療内科は、心理社会的因子、つまり、精神的なストレス、また、社会生活の中でのストレスの影響が大きく関与している症状や病気を、心身両面からみていく診療科です。ストレス関連疾患では、心理社会的なストレスが、発症の誘因になっているだけでなく、症状が持続し、悪化していく要因にもなっています。人はだれでも、身体面、脳機能面で、体質的に弱い部分と強い部分もって生まれています。ストレスが大きくかかると、心身のバランスが崩れ、心や体の弱い部分の症状となって現われてきます。そして、その状況が慢性化すると、病になり持続していきます。さらに、病になると、病や将来に対する不安や恐怖がおこり、もともとの心身の不調をさらに悪化させるという悪循環に陥って、状況をさらに複雑にしてしまいます。

 そのため、ストレス要因を見極め、改善、ケアすることが健康を維持する上で重要となります。けれども、現実には、ストレスの過小評価や、むしろストレスの自覚がないことが多いために、知らないうちに健康が損なわれてしまうのです。けれども、心の問題が体にさまざまな影響を及ぼしていることや、体の病気から心の病につながっていることは、未だ、十分に理解されていません。また、病は、健康や生活を障害するつらい状態でありますが、必ずしも憎むべき敵ではなく、自分や家族に重要なことを気づかせてくれる人生のメッセンジャーとしての側面も多く認められます。そして、そのメッセージの理解が深まることで、病状だけでなく、人生も好転していくことがしばしば見られますが、この点も見落とされがちです。

 心療内科は、一人の人間としての患者さんに敬意を払い、心身両面からの治療、さらには、ストレスや病の意味といった面も考慮しながら、健康維持や向上、よりよい人生を生きるためのサポートをしていくことも目標としております。

 当科では専門的な心理ケアとして、林 祐造 臨床心理士によるカウンセリングを行っております。また、代替療法についてのアドバイスなども可能な限りおこないたいと思っております。私にとって「心と体の両面からのリハビリ」を目指す当院で、スタッフと共に働けることは大きな喜びであり、地域の医療に貢献できるよう、邁進してまいりたいと存じます。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。

心療内科医長 土井 麻里

わが町、一乗寺


私は生まれてから今迄ずっと一乗寺という町に住んでいます。一度もこの町から、出た事がないのです。両親が京都人のせいもあって、良いのか悪いのか、他の町を知らないのです。北大路病院も一乗寺という事で、よほど一乗寺に縁があるのだなと感心します。
 よくニュースでお盆や正月をふるさとに帰省して、おみやげを一杯持たされて帰る家族を見て、ふるさとがあるって羨ましいなあ~と思った事もありました。
 子供の頃、この一乗寺の町も今はあまり見かけなくなった野原もあって、学校が終わると友達と泥んこになって遊んだり、公園に行けば、紙芝居のおじさんが来て、水アメを買って、紙芝居を見るのが楽しみでした。
 叡電の一乗寺の通り、一乗寺商店街にある「エルスポーツ」、昔は一階が市場で、二階が映画館でした。小さい時は、よく親におねだりして姉と一緒に映画を見に行ったり、今では信じられないのですが、一乗寺商店街に市バスが通っていたのです。
 一乗寺の町も新しい店や家、マンションと随分と変わってしまいましたが、一歩中に入ると、今でもまだそのまま、という所もあります。
 この一乗寺の町は交通の便もいいし、スーパーも沢山あって、公園では子供が遊び、おじいちゃん、おばあちゃんはゲートボールをして、とてものどかで、住みやすい町です。
 住んでいる人は、どちらかというとおっとりしていて、それでいてお祭りや運動会、地蔵盆とかには熱が入り、盛り上がります。そんな、昔ながら的な所が残るこの一乗寺。
 ふるさとはないけど、やっぱりこのわが町、一乗寺がとっても大好きです。

看護助手H.Y

2014年1月1日水曜日

認知症の予防には軽い運動が効果的

 認知症は、病気やケガなどのために脳の細胞が壊れて、これまで身につけてきた社会生活を営む能力を失ってしまった状態をいいます。昔はもの忘れが重視されていたのですが、最近ではもの忘れがそれほどなくても、その他の高次脳機能障害が重度で、生活に著しい支障があれば、認知症と診断されるようになりました。因みに高次脳機能とは、言葉を話したり、聞いて理解したり、文字を書いたり読んだりする能力やテレビのリモコンや電子レンジなど、いろいろな道具を使用する能力、日常生活の段取りを立てたり、それを成し遂げる能力、人と協調する能力などがそれに当たります。

 2012年時点で、65歳以上の認知症の人は462万人に達しました。京都府の人口が226万人ですから、いかに多いかがわかります。認知症の発症率は65歳から徐々に増えていき、5歳刻みで、倍々になっていきます。85歳以上の有病率は女性で30%、男性で22%程度です。このことからも認知症の最大のリスク要因は加齢ということがわかりますが、残念ながらこれは避けては通れません。

 その他のリスク要因に糖尿病、高血圧、脂質異常症があります。ですから生活習慣病の予防と治療が認知症予防の鍵になります。また、うつ病も認知症のリスク要因と言われています。認知症の予防や糖尿病やうつ病の治療に、軽い有酸素運動は効果があります。京都には四季を堪能できる散策コースが沢山あります。ウォーキングをたのしみましょう。

コメディカル H.Y

ステップアップ北大路病院

皆様新年あけましておめでとうございます。

 脳神経リハビリ北大路病院(以下、北大路病院)が2008年12月1日に開院してから丸5年が経過しました。昨年12月1日には関係者の皆様、職員の皆様方多数のご出席をいただき、5周年記念式典を盛大に催すことができました。改めて感謝をいたします。

 2014年は新たな5年間のスタートの年です。この5年間のキーワードは「神経難病」「ロボットスーツ」「若い力」です。

 筋萎縮性側索硬化症、多系統委縮症などのいわゆる神経難病は有効な薬剤や治療法がほとんどなく、医療の中でも最も日の当たらない場所と言われています。リハビリテーション(以下、リハビリ)や心のケアもされないまま進行していき、不安なまま在宅医療を受けておられる方も多数おられます。幸い当院は回復期リハビリ病棟以外に障害者病棟を持っており、これと訪問リハビリを組み合わせることで、地域の神経難病医療に貢献していけると考えます。また、4月からは神経内科の常勤医を迎え、心療内科医と共に心と体の両面から有効なリハビリを提供できると確信しています。

 昨年11月には、京都大学医学部脳神経外科とのロボットスーツHALを使った脳卒中リハビリの共同研究のキックオフミーティングが開かれました。2014年度にはHALを用いたリハビリを脳卒中だけではなく神経難病のリハビリにも応用していきたいと考えています。共同研究では患者さんの精神面に与えるメリットも評価することになっており、心のケアを重視してきた北大路病院にはうってつけの共同研究と考えます。

 昨年11月から12月には合計3回の療法士採用試験を行い、4名の経験者と最大12名の新人療法士を確保することができました。これはこの5年間の皆様のご努力が実って地域や学生の方々に「脳神経リハビリ北大路病院」が「心と体の両面からのリハビリ」をする病院として認められたことによるものに他なりません。若い力を得て更なるステップアップをしていけるものと考え、私も身が引き締まる思いです。

 最後に2014年の皆様のご健康とご活躍、北大路病院のさらなる発展を祈念して、年頭のご挨拶といたします。

脳神経リハビリ北大路病院 
院長 岡田 達也