2012年4月6日金曜日

リハビリ便り

今年は全国的に記録的な寒さでしたね。京都の寒さもいつにも増して厳しいものでした。これから少しずつ温かさが戻ってくると、運動をされる方が多くなるのではないでしょうか。そこで、今回は運動なさる際に気をつけて頂きたいポイントをいくつかご紹介したいと思います。

①急な温度変化に注意!
 外の気温が低いと、手先足先の血管は熱を外に逃さないように細くなります。すると、細くなった血管を血が流れていくので血管にかかる圧が上がってしまいます。また、心臓に血液が沢山帰ってくると心臓の負担が大きくなります。外に出るときは暖かい恰好で手足を冷やしすぎないよう注意してください。

②きちんと水分補給を!
 寒い時は、外の空気が乾燥しているにもかかわらず飲水量が減ってしまいがちです。小まめな水分補給を心がけてください。

③運動前にはしっかりストレッチを!
 寒くなると、筋肉は硬くなり動きが鈍くなります。急に動かすのではなく、十分ウォーミングアップを行って体を温めてから運動してください。
 
 これらのことに気をつけて今年も健康に気をつけて過ごしていただければと思います。

地域連携室便り

先日、あるリハビリに関するフォーラムに参加してきました。
 
 その日のテーマは、難しい「高次脳機能障害」。脳卒中や頭部外傷の後遺症による脳の機能障害のことを言いますが、適切なリハビリを実施することで、一定度の障害の回復が期待できるということが、脳科学の進展によりクローズアップされてきています。フォーラムでは、その障害と向き合い、長いリハビリ期間を経て家庭にそして社会に復帰された方と、それを支えてきた家族や地域の支援者の方々の活動を紹介しながら、そうしたことを可能にしてきている、いわばリハビリの「最前線」を紹介していくものでした。

 当日のプログラムは、高次脳機能障害のリハビリを実際に続けておられる方の記録映像を見ていきながら、まずその障害とはどんな障害なのかを考えていくことから始まります。
高次脳機能障害は、一言で言い当てることはできませんが、おおよそ周囲から見て「別人のように思える」というような感じではないかと考えられます。具体例としては、身体的な機能は回復してきているのに、自分の年齢がわからない(記憶障害)、物事の流れ・手順がわからなくなる(遂行機能障害)、自分から何もしない(発動性低下)、急に怒り出す、病識が欠如しているなど行動や感情のコントロールができない、といった症状が現れます。また、自分の左半側の刺激に気づかない、反応しない(左半側空間無視)、早い話し・長い話しが理解しにくい、漢字より仮名が難しい、思ったことと違うことを言う、計算が困難になるなどの症状を伴う場合も多くあります。記録映像にもそのような場面がいくつも出てきて、日常生活で普通にできるであろう事が出来なくなり、まるで人が変わってしまったかのようになってしまう、この現実が本人の混乱はもちろんの事、家族や周囲の人もどう接していいかわからないなどの深刻な事態を引き起こすことになるのです。

 それではどうしたらよいのか。フォーラムでは、実際にどんなリハビリを実施して、家庭に社会に復帰してきたのか、当事者から話がされます。高次脳機能障害の特徴には、病棟生活ではわかりにくい、本人が障害を認識できない場合が多い、しばしば個人の性格と混同あるいは誤解する、半年~年単位で変化するなどが上げられています。この事から、その「リハビリ」も「障害があるからできない」のではなく、「障害があってもできた」という体験をより大切する「リハビリ」が必要であると話されます。今、自分がどんなふうになっているのか少しでも分かるようになる、いわばその人の主体性の確立を促すような「リハビリ」こそ重要と考えられているのです。更にその実践として、第一に、障害をめぐる状況をただ受け入れるのではなく、状況にあわせて、自身の生活(考え方)を変えていくようにすること、第二に、「あせらないで」「あきらめず」の年単位での取り組みを続けるようにする、第三に、本人の意欲を維持すること―そのために、本人の関心を引き出す記憶への働きかけ、役割のある暮らしをつくる―等が上げられます。こうした事は、例えば病院で行うリハビリというより、家庭や地域での日常生活自体が「リハビリ」と一体化しているような取り組みを、息長く続けていくということであると考えられます。そのために、本人を支援する家族・地域の専門機関の働きの重要性が指摘されました。
 
 当院は回復期のリハビリを担う病院ですが、当院にも程度の差こそあれ、高次脳機能障害を持つ患者さんが入院されていることで、そのリハビリを、退院支援も含めてどのように進めていくかが大きな課題となっています。フォーラムで感じたのは、回復期リハビリ病棟は最大で半年間のリハビリ期間がありますが、その期間内でこうしたリハビリが完了できるわけがなく、どのようにしてより安定した、在宅に戻っての生活リハビリが継続していける状態や環境を創り出していくのかを考えないといけないという事でした。そのためには、地域の在宅ケアシステムや福祉サービスにどのように「繋げていく」のか、効果的な「連携」をどう進めていくのか、今まさに我々が問われていることであると思います。

田舎があるっていいな

患者様と接する中でよく「先生は京都の人ですか?」と聞かれることがあります。私は「京都ですよ」と答えるのですが、二言目には「京都の北の方です」と答えます。「天橋立」ではありません。私の出身地は天橋立から北へ車で約二十分。丹後半島にある「峰山町」です。

 学生時代、大阪にいた頃も「京都の海の方出身」と自己紹介していたのですが、「京都に海なんてあったっけ?」と言われることは珍しくありませんでした。「天橋立」までは知名度はあるのですが、以北についてはなかなか説明できないものでした。ですから、いつも面倒臭くても「京都の天橋立からもっと北に行ったところ」と答えていました。

 峰山町は、2004年に丹後6町(峰山町・大宮町・網野町・丹後町・弥栄町・久美浜町)が合併して出来た、京丹後市にあります。峰山町は私の庭。と言っても観光名所が思いつきません(笑)しいて言えば、磯砂山(いさなごさん:標高661m)は羽衣伝説の発祥の地とされ、麓に「乙女神社」があります。そこにお参りするとかわいい女の子を授かるとか…私もお参りしてもらったのでしょうかね。
 
 実家へ帰省する際、必ずと言っていいほど通過するのが、大宮町から峰山町にかけてのバイパス。マクドナルドやローソン、かっぱ寿司やミスタードーナツなどのチェーン店ができ、最近は発展途上。地元の若者が集まる場所ですね。
 
 食べ物で言えば「バラ寿司」。お祭りなどの祝事でよく作りました。特徴と言えば「サバの缶詰」。砂糖と醤油で味付け、ほぐしながら焙ります。これが酢飯の上に散りばめられています。もちろん他にも具材はのっています。近くにお立ち寄りの際は召し上がってみて下さい。「にしがき」というスーパーでも売っています。お勧めです。

 近隣の町には海もあり、カニもとれ、温泉も湧いて、古墳もあって…残念ながらここには書ききれません。またお声掛け頂ければ可能な範囲で紹介させて頂きます。
 
 思えば、地元を離れて十年目を迎えようとしています。よく帰省しているのですが、こうして文章にするとなぜか懐かしく思いますね。「田舎があるっていいな」

理学療法士 T.Y

新病院 開設 3周年 明日に向かって

脳神経リハビリ北大路病院は、平成23年12月1日に無事開院3周年を迎えることができました。これもひとえに皆様方のご協力、ご指導の賜物と感謝いたしております。厚く御礼を申し上げます。

1、この3年間
 平成20年12月1日に「石野病院」が新築移転し、「脳神経リハビリ北大路病院」となり、当初、「一般病棟56床1病棟(13対1)」・「脳血管リハビリⅡ」・「運動器リハビリⅡ」で開院しました。平成21年7月1日に、京都市左京区で5番目の回復期リハビリテーション病棟を取得し、2病棟体制となり、「回復期リハビリテーション病棟Ⅱ(36床)」と「一般病棟13対1(20床)」になりました。
 
 平成22年1月1日から「回復期リハビリテーション病棟Ⅰ(36床)」を取得しました。「回復期リハビリテーション病棟Ⅰ」は「Ⅱ」に比べると人員基準や在宅復帰率の基準が厳しく、この2年間基準を維持してこられたのは、利用者また関係各位のおかげと感謝いたしております。

 平成23年4月からは、牧浦医師を「回復期リハビリテーション病棟専任医」として迎えることができ、回復期リハビリテーションのさらなるステップアップをすることができたと思っています。 以上のように、毎年のように人員確保とリハビリ実績を積み重ね、また皆様のご協力により、次々に回復期リハビリテーションの上位カテゴリーにステップアップしてきました。
 

2、これからの1年
 ハード面、ソフト面共に激動の3年間でしたが、これからの1年間は今までの様なハード、ソフトの劇的な変化はないと思います。3年間で積み上げた物を使って、いかにリハビリテーションの質と量の充実をはかっていくかということが、今年の最大のテーマといえると思います。
 
 リハビリテーションそのものだけではなく、心療内科医、臨床心理士による精神面のサポート、嚥下内視鏡検査、緊急時のCT・MRI検査など、他のリハビリ病院にはない独自の機能も最大限に使って、少しでも患者様の在宅復帰のお手伝いができればと思っています。

 在宅復帰後の訪問リハビリテーションもさらなる充実を図っていきます。また、一昨年から始まった「健康フェスタ  脳神経リハビリ北大路病院」や、院内コンサート、健康教室等をさらに充実させ、地域の皆様に開かれた病院にしたいと思います。これからも脳神経リハビリ北大路病院に、さらなるご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

 最後に、皆様のますますのご健勝、ご発展を祈念して、私のご挨拶とさせていただきます。

医療法人一仁会 脳神経リハビリ北大路病院長 岡田達也