2006年10月5日木曜日

あなたの血管年齢は?


1.動脈硬化はどれくらい悪い病気か

 近年、動脈硬化(心疾患と脳血管疾患)による死亡率は増加しており、がんに次いで死亡原因の第2位です。しかも、現在、要介護者や寝たきりの問題が注目されていますが、その主な原因も動脈硬化です。動脈が硬くなったり詰まったりする動脈硬化性疾患には、心筋梗塞、脳梗塞や脳内出血などの脳卒中、それに足の血管が狭くなったりする閉塞性動脈硬化症(ASO)などの心血管疾患があります。
 心筋梗塞は、心臓に血液を供給する冠状動脈が詰まる病気で、心臓の筋肉へ血液が流れなくなり、死亡することもあります。また、そのときは回復しても再発することもあり、大変危険な病気です。脳卒中になりますと、脳の神経細胞が死に、手足などの機能が障害を受けることにより、要介護や寝たきりになったり、また、死亡することもあります。ASOは、足の血管が狭くなったり詰まったりする病気で、足の先に十分な血液を送ることができず、足が冷たくなったり、歩くとしびれや痛みを感じたりします。重症になると、足を切断せざるを得ないこともあります。
 以上のように、動脈硬化は死亡の原因であるばかりでなく、健康で自立して生活することを妨げる病気でもあります。一方、「人は血管とともに老いる」ともいわれ、加齢とともに血管は硬くなりますが、動脈硬化は初期段階では症状がなく、血管が徐々に硬くなり、最終的に脳卒中や心血管疾患を発症すると考えられていますので、その予防と検査が重要になります。

 2.新しい動脈硬化の検査

 ここでご紹介する検査では、血管の硬さの程度と「血管年齢」がわかります。CAVI(キャビィ)検査と呼ばれるこの検査は、血圧測定等と同様簡単で、検査時間は約5分です。
 それでは、もし「血管年齢が高い」「動脈硬化が進んでいる」と判定されたらどうしたら良いでしょうか。動脈硬化を進行させるといわれている生活習慣の悪い点は直ちに修正しましょう。肥満、高脂血症、高血糖、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝等がある人は、しっかり食事療法を行い、標準体重まで減量し、適度な運動を心がけてください。すでに薬等で治療中の方は、主治医とご相談のうえ続けてください。

 3.血管年齢を上げないために

 動脈硬化になりやすい要因には、内臓脂肪型肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症・喫煙・ストレスなどがありますが、それでは動脈硬化を予防するにはどのようにすれば良いのでしょうか。動脈硬化の予防は治療と似ていますが、主に食事と運動を中心とした良い生活習慣が重要です。食事では、
 ①野菜で食物繊維を十分に摂取する
 ②低脂肪を心がける
 ③食塩を1日6g未満にする
 ④適切なカロリー摂取(表)

運動では、有酸素運動(全力の40~60%で、1回20~30分程度、回数は多く、疲れが残らないようにする運動)が効果的です。もちろん、禁煙は言うまでも無く、小さなことにくよくよせず、悩みを相談したり、笑うなどしてストレスをため込まないことも大切です。

 4.元気で健康な生活を

 これからも益々、平均寿命は伸びると思いますが、自立して健康に暮らせる期間、いわゆる「健康寿命」を伸ばすことが大切です。そこで、血管年齢(血管の硬さ)により動脈硬化がどの程度であるかを知り、健康的な生活習慣により動脈硬化を予防し、年をとっても若くて健康な生活を送りたいものです。この血管年齢検査について詳しく知りたい方は、お気軽に医師までご相談ください。

まっ白い『おにぎり』

 幼い頃の思い出はほとんど忘れてしまい、あまり記憶に残っていないものですが、ただ、今でも覚えていることがある。

 それは戦争末期、連日連夜の空襲で大阪は焼け野原となり、京都に住んでいた我が家も「次は京都の番だ」と思い、父だけが残って私達は母の郷里である湖北の高月町に疎開することとなった。
 汽車は「ブォー」と汽笛を鳴らし一路湖北をめざして走り出した。あたり一面がのどかな田園風景となった頃、前の席に座っていたおじさんが竹の皮に包んだ物を取り出し、おいしそうに食べだした。私は思わず身を乗り出し、そのまっしろの『おにぎり』をジーっと見つめた。食糧難の時代であった。幼い私も配給されるスイトンを得る為に鍋を持って並ばされたものであった。そんな時代に目の前に出されたまっしろの『おにぎり』を食い破るように見つめたのも、本能からくる当然の行為であったといえる。おじさんは、そんな私を見て「ボン食べるか」と言って残りのひとつを手に載せてくれた。「おおきに」と言って口にほおばり一心に食べた記憶は、いまだに忘れないでいる。

 今は欲しいものは何でも食べられる時代となった。宴会などでも随分と残ってしまい、マータイ博士の如く「モッタイナイ」とつい思ってしまう。私は食糧難の時代に育ったお陰で、何でも美味しく食べられる。
 子供の頃に、母より「米粒ひとつにもお百姓さんの汗の結晶が込められているのよ。だから感謝の気持ちで頂くように」と教えられた。

 家族が食卓を囲み「いただきます」と言って、一家団欒しながらの食生活が、一家和楽の家庭となり、それが健全な社会の構築に貢献すると思ってる。

診療放射線技師 O・M
2006年 秋号

心に響く音

 数年前の一月十七日、一乗寺グラウンドで太鼓の演奏が行われていました。「鎮魂と希望の太鼓」、阪神淡路大震災の被災者のために、そして世界中の平和を祈って打たれる太鼓の響き…耳から聞こえてくる太鼓の音と地面から伝わってくる振動は凄い迫力で、胸に響いてくるものがありました。毎年行われているこの演奏は、「風」という和太鼓サークルで、何度も見ているうちに、どうしても私も太鼓を叩いてみたくなり、昨年二月にこのサークルに入会しました。
 練習を始めて約一年半、手にマメを作り全身筋肉痛になりながら練習に励んでいますが、未だに思うようにいい音は出ません。それでも、今年の一月十七日には念願のグラウンドに立つことができ、努力が感動に変わった瞬間でした。他にも地域のお祭りやイベントににも出演し、夏には府立文芸会館のステージにも立つ事ができました。
 もともと体力もなく、リズム感もない私に「できる訳ない」と思っていましたが、先生(「祭衆」のメンバー。世界的に活躍されているプロの和太鼓奏者です)やベテランメンバーの指導のもと、とても楽しい時間を過ごしています。興味のある方、ぜひ一緒に太鼓を叩いてみませんか?

看護師 O・S
2006年 秋号