2011年1月8日土曜日

リハビリテーションについて~人間復権の医療を求めて~

「リハビリテーション」と言えば、悪くなった手足の働きを回復させるための「機能回復訓練」だというのが一般的な「常識」になっているようですが、それは実に残念なことだと思います。
 リハビリテーションとは「人間らしく生きる権利の回復」すなわち「全人間的復権」であり、過去の生活への復帰であるよりもむしろ「新しい人生の創造」なのだということを理解していただければ幸いかと思います。そこで改めてリハビリテーションという言葉の語源に立ち戻って考えてみると、リハビリテーションの語源は「再び適したものにする」、「再びふさわしいものにする」ということ、つまり人間が破門、無実の罪、名誉の喪失などの理由で、人間として望ましくない、人間にふさわしくない状態へと突き落とされた場合、それを再び望ましい状態へと立ち戻らせることです。
 「リハビリテーション≠理学療法士+作業療法士+言語聴覚士 +ソーシャルワーカー+看護師+・・・」
であるのです。リハビリテーションの本質は「全人間を見る」こと、そして人の生活と人生に貢献できるものとしての技術の生かし方を学ぶことだと思います。機能障害の治癒が可能な限りは当然それを追求する。大事なのは「たとえ治癒させえなくてもあきらめない」また「治癒が必ずしも最高の目標とは考えない」ということであり、治すこと(完全治癒)ではなく、人間らしく生きるという点において現状よりもずっと「よく」なるようにすることかと思います。機能障害よりも大事な『生活』、『人生』をよくすることで、患者様に「よくなりました」と言って頂ける事が大きな励ましかと思います。
 また、障害者とは「障害をもっている人」ということであるが、それは「障害しかもっていない人」という意味ではない。実は障害者は障害の他に、正常な機能や優れた能力、高い人格や独特の個性をもち、多くのプラスのものをもっている存在であり、たまたまある種の障害をもっているという他には、普通の人間と変わりのない、それぞれの個性や特徴をもっているのです。よって、リハビリテーションとは障害というマイナスを極力減らすことではなく、むしろ機能や能力を発展させること、すなわちプラスを増やすことでもあります。しかもそのプラスとは現在目の前にあってすぐ使える「残存能力」だけでなく、隠れてはいるが、適切な働きかけをすれば引き出すことのできる「潜在能力」が大きいのです。プラスを増やすことに重点をおきつつマイナスを減らし、その総合された効果が全体として大きなプラスになるようにすることがリハビリテーションなのだと言ってもよい。
話が少し難しくなりましたが、リハビリテーション(全人間的復権)の目標は「人生の質(クオリティ・オブ・ライフ、QOL)」の向上にあるということ。そして、「治ら」なくても「よくなる」(人生の質が上がる)ことが可能であり、それこそがリハビリテーションの目指すところだということであります。一人でも多くの患者様に「良くなった」と笑顔で言って頂けるよう、一緒にリハビリテーションのお手伝いが出来ればと考えています。最後に口語短歌集「いのち」より、
『半身麻痺を人はどうにか生きていく、そのどうにかに、いのちをかけて。』 

リハビリテーション科
K.K(理学療法士)