2011年8月5日金曜日

地域連携室だより

 当院は、リハビリの提供を中心に行う病院です。現代医療の中でリハビリが担う役割と、それに対する期待は大きなものがあります。が、リハビリは万能でないことも、よく知らなければなりません。リハビリが、損なわれた身体機能等を元にもどして、総てを解決してくれるものではないからです。今や、「いのち」の神秘にこんなにも肉薄している時代はありませんが、その終わりを克服することは出来ず、「いのち」そのものは、神の領域であることに変わりはありません。私達が持っている「いのち」はこの世では永遠でなく、はじめがあり、終わりがあります。誰もがはじめを経験した以上、例外なくその終わりを体験せねばなりません。そう考えると人は意味ある終わりをどう迎えようかと、どこかで思っているのではないでしょうか。もし、そうであるならば、人はそこに辿り着く為に意味ある人生を模索していて、それは、とりも直さず人が今をどう生きてその存在を確認するかという事に他ならないのではないでしょうか。

 意味ある人生、そしてそこに何らかの障害が起きた時、人はそれを克服して、もう一度自分の「いのち」の意味を問い直し、その存在を確認しようとする。リハビリはそれを手助けする為に存在するのではと思うことがあります。リハビリも、そしてリハビリを提供する者も、その事をふまえてより謙虚に、人と、その限りあるけれどもその人にとって意味ある人生に向き合う存在でありたいと切に願うのですが。