2009年3月31日火曜日

理事長推薦ジャズ名盤 第2回

第2回『TUTU』 /マイルス・デイヴィス

 第2回目にして早くも帝王マイルス・デイヴィスの作品を紹介します。マイルスは言うまでもなく、ジャズ界最大の巨星であり、その作品は音楽的にも歴史的にも重要なものばかりです。おそらく、彼の代表作を1枚挙げるとなると、人によってそれぞれ全く異なる作品を選ぶのではないでしょうか?私は、晩年の86年に発表されたこの作品を推薦いたします。
 この作品を推薦する理由としては、リアルタイムに聴いていて愛着があるというのももちろんですが、大変聴きやすく、初めてマイルスを聴くにはもってこいの1枚と考えるからです。
 この作品では、プロデューサーにトミー・リピューマとマーカス・ミラーが起用されています。トミー・リピューマはYMOを全世界に紹介したことで、日本でもお馴染みのポップス界の名プロデューサーです。マーカス・ミラーは80年代以降人気実力ともにNo.1のベーシストで、ジャズにとどまらず、ロック、ポップス、R&Bなどあらゆるジャンルのおびただしい数のセッションに参加しています。プロデューサーとしても幅広く活躍しています。
 そんな2人がプロデュースしたこの作品は、当時の最先端サウンドで満ち溢れています。デジタル・シンセサイザーを多用し、シーケンサーを用いたいわゆる「打ち込み」の曲も多くあります。4ビートの曲はありません。今聴いても全く古さを感じさせません。
 特に、ほとんどの曲にベースのみならずマルチプレイヤーとして参加し、作曲編曲もこなしているマーカス・ミラーの存在感は圧倒的です。彼の透き通るような美しい音色のスラップ奏法(弦をネックに強く当てて大きな音を出す奏法)が随所で聞かれ、マニアにとって流涎ものです。この作品はマイルスとマーカス・ミラーの共作といっても過言ではではないでしょう。
 とにかく「かっこいい」という言葉がぴったりな1枚です。


医療法人一仁会
脳神経リハビリ北大路病院
理事長 岡田 純