2008年4月7日月曜日

理事長推薦ロック名盤 第6回

第6回 『ザ・ビートルズ』 ザ・ビートルズ

 今回と次回2回にわたり、作品自体の質の高さはもちろんですが、時代の節目となった作品を紹介することで、70年代ロックを私なりに総括してみたいと思います。

 今回はビートルズが68年に発表した『ザ・ビートルズ』 です。真っ白なジャケットで、一般的には「ホワイトアルバム」 といったほうが通りがいいようです。

 「70年代ロックではないだろう」とおっしゃる方も多いと思いますが、68年という年はクリーム、ヤードバーズといった60年代を代表するバンドが解散する一方で、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、イエスといった70年代を代表するバンドが次々とデビューし、実質的に70年代ロックの幕開けとなった年なのです。

 そんな節目の年に発表されたのが「ホワイト・アルバム」です。ストレートなロックン・ロールはもちろんのこと、ブルース、バラード、ハード・ロックさらには効果音と電子音だけで構成された前衛音楽までありとあらゆるジャンルに挑戦し、ビートルズのみならず、それまでの60年代ロックの集大成という内容になっているとともに、来るべき70年代ロックの方向性を示したともいえる作品です。

 67年に発表された『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』と、69年に発表された『アビー・ロード』の2つの超傑作アルバムにはさまれて、地味な印象の「ホワイト・アルバム」ですが、ビートルズの作品の中では私がもっとも好きなアルバムです。

 その後の70年代ロックの隆盛は、第1回から第5回のロック名盤でもご紹介したとおりですが、第1期キング・クリムゾンが解散した74年頃から衰退し始め、私が高校に入学したは78年頃には、私のロック熱とは裏腹に、ロック界全体に閉塞感が漂うようになりました。

 当時私は80年がロックにとって大きな節目の年になると予想していました。62年にはビートルズとローリング・ストーンズ(レコードデビューは翌年)がデビューしており、68年と74年に上に書いたような変革があり、6年ごとに大きな変革が起こっていたからです。

 別に私に予知能力があるというつもりはさらさらありませんが、予想通り80年にロックは衝撃的な事件とともに大変革を迎えることになります。


医療法人一仁会 石野病院
理事長  岡田 純