2007年12月25日火曜日

在宅介護の工夫について


 在宅介護がうまくいくためには、医療と看護、介護力の確保や住宅環境の整備、福祉用具の活用等が考えられます。そして何よりも大切な事は病気を抱えた御本人及びご家族が共に現状を受け入れつつ役割を分担し、お互いに思いやりを持って毎日を過ごしていける事ではないでしょうか。その為には周囲の方々が、ご本人にとって本当に必要な介護を行うことが大切です。
 ご本人が病気になる前の生活状況に心身ともに近づけるよう、一日のリズムを作りメリハリのある毎日を心がける事が大切かと思います。日常生活の工夫として、

① 本人のやる気を引き出す
 身だしなみを整え(女性の方はお化粧等も含めて)着替えることで 昼夜の区別をつけ、ベッドから離れた生活を心がける。(寝たきりの方は適宜専門家の援助を受けて行う)

② 必要以上に手をかけない
 本人との共同作業により家族とのつながりを持つ。
 
③ 福祉用具の活用
 食事、入浴、排泄についての補助用具はいろいろと開発されているので、必要な用具を適切に使用することで介護負担は随分軽減されます。

④ 季節感を演出する
 季節毎の行事を一緒に行い、室内のみの生活に変化をつける。

等があげられます。
 次に実際に介護を行う際のポイントについてご紹介します。

① 移乗について
 今回は車椅子からベッドへの移動の際のコツをイラストで紹介しますので参考下さい。
(資料提供:㈱カワムラサイクル様)

1、介助者は利用者の足の間に自分の片方の足を入れる。

2、介助者は腰を低くして、後ろに引いた足でしっかり支え、利用者を両手で抱える。

3、介助者は利用者を抱きかかえながら身体を起こし、その場でベッド側に回転する。

4、介助者側が前かがみにならないように、介助者は自分の膝をしっかり曲げていく。

5、介助者はしっかりと膝を曲げ、利用者の腰をベッドの奥のほうへ誘導する。


② 片手での衣服の着脱動作
 シャツ、上衣はかぶり型よりも前開き型で袖口や袖付はゆったりとしたデザインがよいでしょう。ボタンやスナップは大きめのものを使用すると片手で扱いやすくなります。また、マジックテープも便利です。上衣の着脱を行う場合の原則は、「着る時は患側(悪い方)から、脱ぐ時は健側(良い方)から」です。

③ 食事摂取について
 食器は底が広く重さがあり、押したくらいで倒れたり動いたりせず、すくい易いものがよいでしょう。スプーンは握りやすいよう持ち手をスポンジで改造すると便利です。こういったものは商品化もされています。ご質問いただきましたら紹介させていただくことは可能です。

④ 入浴補助具について

【バスボード】
 浴槽に入る前に腰掛けて、安全に浴槽へ入ることができます。昇降機能付きもあります。

【シャワーベンチ・入浴台】
 立ち座りの安全に有効です。
 
⑤ 排泄用具
「ポータブルトイレ」
 肘掛がついて介助し易くなっています。跳ね上げ式の肘掛けもあります。

 以上ご紹介したものは、ほんの一部です。福祉用具や家族介護についてのご相談は、「石野病院」または「訪問看護ステーションそよかぜ」へ気軽にお問い合わせ下さい。スタッフがアドバイスをさせていただきます。