2008年10月29日水曜日

理事長推薦ロック名盤 番外編

番外編 『浪漫の騎士』/リターン・トゥ・フォーエヴァー

 今回のロック名盤は、番外編としてチック・コリア率いるリターン・トゥ・フォーエヴァーの『浪漫の騎士』 をご紹介します。ご存知のように、チック・コリアは現役のジャズ・ピアニストとしてもっとも輝かしい業績を残している巨星です。「何でロック名盤の紹介でチック・コリアが出てくるねん?」と突込みが入りそうですが、このアルバムをほんの数秒聴いていただければ、すぐにご納得いただけると思います。どこからどう聴いてもロックです。
 このアルバムが発表されたは76年ですが、70年代前半に隆盛を極めたプログレッシブ・ロックの要素を取り入れながらも、ジャズのスピリッツを随所に残し、その後のジャズおよびロック・ミュージックに大きな影響を与えました。
 メンバーはピアノ、キーボード、シンセサイザーのチック・コリア、エレクトリック・ベース、アコースティック・ベースのスタンリー・クラーク、ドラムのレニー・ホワイト、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギターのアル・ディメオラという涎が出てきそうなオールスター・キャストです。
 メンバーそれぞれが超絶技巧を屈指して、激しく音と音をぶつけ合いながらも、混沌に陥るわけでなく、見事に調和しているところが奇跡的とも言える作品です。演奏家・作曲家としてはもちろんですが、プロデューサーとしても超一流のチック・コリアの手腕によるものではないでしょうか?
 70年代のジャズは、60年代後半から電気楽器を取り入れロックへのアプローチを試みたマイルス・デイビスの流れを汲んだフュージョン(当時はまだクロスオーバーとかジャズ・ロックなどと呼ばれていました)が全盛を迎えます。そのひとつの完成形と言えるのが『浪漫の騎士』です。
 それまでロック一辺倒であった私はこの作品を聴き、ジャズにのめりこむきっかけとなりました「ロックは好きだけど、ジャズはどうも・・・」という方に是非お勧めします。
 そんなわけで、かなり強引な展開ですが、次回より70年代80年代のフュージョンを中心に、「理事長推薦ジャズ名盤」をお贈りいたします。お楽しみに。


医療法人一仁会 石野病院
理事長 岡田 純