2006年6月30日金曜日

捨てられない物

 平成五年に滋賀県のO病院が閉院したため退職を余儀なくされ、寮にあるものを色々処分したものの、どうしても捨てられなかったものが本でした。
 田んぼのまん中の病院で買い物に行くにも車で四十五分と、まるでアメリカの様な生活環境で七年足らず、楽しみといえば本しかなかったので、京都に出て来るたびに一万円ほど買い込んで、テレビ代わりに読んでいたのです。しかし流石に引越しにあたり、雑誌の類は捨て、ハード・カバーの本のみにしても17㎏箱 ×22個は、木造二階建ての我家には、いかにも重量オーバーです。
 その後、京都の伏見の病院に御縁が出来、半分は新居に引き取りましたが、弟の「床が抜ける」の言はつらかったです。有難い事に、新居の近くに図書館があったので、仕事で使う本以外は、図書館で二回以上借りた本を買うというルールを決め、平成十七年に現在の住み家に転居するまで、そのルールを守り通しました。が、十二年近くの間に本は増殖し、引越しの時数えてみましたら、再び17kg箱×22個。女の一人暮らしとあなどって、女性スタッフ一名、男性スタッフ一名で来ていた運送会社の人達は、急遽助っ人を呼ぶ始末でした。
 現在の私のルールは、図書館にある本は買わない、です。それでも、E・ピータースの修道士カドフェルシリーズ、全二十一巻(光文社)が欲しいなあと思っています。

言語聴覚士 O・S
2006年 夏号